円形脱毛症とは突然、髪の毛が抜け落ち、円形の脱毛や薄毛ができる疾患です。十円玉大の薄毛部分が出来るため十円ハゲと言われることがあります。円形脱毛症はその数や形により、単発型、多発型、多発融合型、全頭型、などに分類されています。ひげやすね毛、陰毛などにも症状が及ぶ汎発型も認められます。円形脱毛症には難治性で治療に抵抗する症例がありますが、仙台中央クリニックでは、毛髪再生治療により円形脱毛症の治療を行い、実績を上げています。
円形脱毛症の詳細な原因は不明ですが、ストレス説、自己免疫疾患説、アトピー説、などが考えられています。
円形脱毛症は、古くからストレスが関与していると、考えられていました。強いストレスにより、免疫系を制御する視床下部―下垂体―副腎皮質経路に障害が起こり、交感神経の異常から血流が低下し、頭皮への栄養補給が滞るという考え方です。重症の円形脱毛患者に催眠療法を用いたところ、不安や抑うつ状態が改善するとともに、脱毛面積が縮小したという実験結果があります。しかし、赤ちゃんの円形脱毛症の発症例があることから、原因はストレスだけではないと言われています。病気の原因を安易にストレスの一言で片付けるわけにはいきませんが、ストレスが円形脱毛症を誘発し、改善の妨げになることは否定できません。
円形脱毛症の最も有力な原因として自己免疫疾患説が挙げられます。自己免疫疾患とは、本来異物から自分の身体を守る役割をする免疫系が、自分の正常な細胞や組織に対し過剰に反応し攻撃をしてしまうという病気です。円形脱毛症の場合、自己免疫作用を持つTリンパ球が、毛包を異物と間違え攻撃・破壊することにより毛包が収縮し、脱毛が起こるのではないかと考えられています。しかしその理由については解明されていません。
円形脱毛症は、アトピー等のアレルギー体質と関連性が高いことが分かっています。円形脱毛症の患者の40%以上に何等かのアトピー疾患が見られ、家族のアトピー素因は半数以上に認められています。アトピー性疾患との合併症が見られる患者は、円形脱毛症が重症化するケースが多いことが知られています。
初期段階の円形脱毛症の場合、副腎皮質ステロイド薬と塩化カルプロニウム液などの外用薬が有用です。内服薬では、グリチルリチン、セファランチンなどが使われています。脱毛斑の範囲が狭く経過が長引く場合は、ステロイドの局所注射を行う場合もあります。ステロイドの局所注射は、脱毛部分に直接注射を行う治療で、効果が認められています。しかし、痛みが伴うこと、患部の皮膚萎縮・陥没などの副作用が見られる場合があることなどから、基本的に子どもへの治療は行われていません。副腎皮質ホルモンの長期の服用は糖尿病の誘発が懸念されるため、2~3ヶ月で服用を中止する必要があります。
ステロイドパルス療法とは、重症な円形脱毛症患者に対して副腎皮質ステロイドの点滴を3日間集中して行うものです。大量のステロイドを投与することになるため、入院治療が必要になります。ステロイドパルス療法の、発毛効果は発症して間もない頃に行うのが効果的と考えられています。発症6ヶ月以内の症例では、半数以上に脱毛部の縮小が見られています。不眠,動悸,頭痛,微熱などの副作用が認められることがあります。子どもに対しては安全性が確認できていません。
局所免疫療法とは、スクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)やジフェニルシクロプロペノン(DPCP)といった化学試薬を使って人工的にかぶれを起こし、自己免疫の攻撃対象をすり替えようとする治療法です。弱いかぶれの皮膚炎を繰り返し起こす治療法であるため、薬の塗布のために週1,2回は通院する必要があり、治療期間は半年から1年に及びます。
線偏光近赤外線照射療法とは、スーパーライザーと呼ばれる装置を使い、赤外線を脱毛斑に照射する療法です。単発型や多発型の患者に対し内服薬と併用して照射することで、発毛回復期間の短縮が期待できます。副作用も軽微で簡単に行える治療のため、併用療法として使用されます。
PUVA療法とは円形脱毛部位に紫外線を照射する光線療法の1つです。局所免疫療法で効果が見られなかった患者に対して行われることがあります。全頭型や汎発型など難治性の患者に対して効果があったとの報告もありますが、その有益性については実証されていません。
円形脱毛症は原因の詳細が不明で、著効を示す治療法がありませんでした。しかしハーグ療法が開発され、円形脱毛症の治療に効果があることが分かってきました。頭皮に1か月に1回薬液を注射することにより、高率に円形脱毛症が解消されます。
39歳、女性。女性の抜け毛治療、女性の薄毛治療
数年前から円形脱毛症が進行してきた症例です。種々の治療を行うものの効果なく、最新毛髪再生治療に期待して仙台中央クリニックを受診していただきました。診察したところ、大小の円形脱毛症が多発性に認められました。ハーグ療法を施行し、改善が認められました。
クリニックより:円形脱毛症は、原因不明な疾患です。近年、ハーグ療法が円形脱毛症に有効であることが、分かってきました。数回頭皮に、薬液を直接注射することにより、毛髪の再生が認められます。難治性の円形脱毛症にも効果があり喜ばれています。