生え際の後退は、男性薄毛の症状です。毛髪が軟毛化して細く短くなり、十分に育たない毛の抜け毛が増加し、前頭部や頭頂部の薄毛に進行することもあります。過剰な男性ホルモンや生活習慣の乱れが原因と考えられています。生え際の後退は、医療機関で適切な治療を受けることにより改善し、太く長い毛を増やすことが期待できます。諦めないで御相談下さい。
正常な毛髪の場合、成長期が2年~6年とされています。正常の生え際には、太く硬い毛が生えていて、生え際の剃りこみは認められません。地肌が透けることもなく、髪の毛は勢い良く立ち上がっています。
髪の毛には一定のヘアサイクルがあり、毛根にある毛母細胞という細胞が分裂することで成長します。ヘアサイクルが乱れると、成長期に細胞分裂が止まってしまい、髪の先端まで栄養が届かずに細くて短い、コシのない髪の毛になります。このような髪の毛が成長過程で、どんどん抜け落ちてしまい薄毛や生え際の後退が見られるようになります。
自然に抜けた健康な髪の毛根はマッチ棒の頭の様に丸く太くなっています。短く細くなっている毛根は注意が必要です。毛根が弱っているため、十分に成長することができないからです。細くて短い抜け毛は、ヘアサイクルの初期に抜けてしまった毛髪です。このような抜け毛が増える状態は、薄毛が進行しているサインです。
額の広さには個人差がありますが、眉上から生え際までの長さが指3本であれば正常と言えます。眉毛と生え際までの長さが6cm以上である場合は、生え際の後退が疑われます。薄毛治療も、早期発見、早期治療の原則が当てはまります。生え際が後退しているかもしれないと気づいたら早めの対策をとるように心がけましょう。
血流が悪くなり血液量が減ってくると、だんだんと生え際の頭皮が硬くなってきます。生え際の頭皮を指で動かしてみて、他の部分より動きにくい、硬いと感じたら要注意です。血流が悪くなって栄養が届かなくなり、髪の毛が抜けて生え際が後退していく可能性があります。
生え際の後退に対し育毛剤が使用されています。育毛剤は頭皮ケアや薄毛対策に対し、有意義であると考えられているものの、育毛剤だけでは薄毛の進行を抑えるには不十分と考えられます。生え際の後退は遺伝的な要因やホルモンによる影響などの様々な原因が考えられ、各人の状態に適合した治療法が必要になります。
ハーグ療法は、近年開発された薄毛治療法です。休止期になっている部分に成長因子を注入することにより、毛母細胞を刺激して細胞の分裂を活性化します。さらに髪に必要な栄養を送り出す部分を刺激することで毛母細胞への栄養供給も活発にします。生え際の後退に対しても効果があり、コシやツヤのある毛髪が再生します。根元からしっかりとした太い髪が増えるために、生え際のボリュームアップが認められます。
47歳、男性。生え際の後退ハーグ療法
症例経過:自分が写った写真を見て、生え際が後退していることに気づいた症例です。額が広くなり、周りの人と比べて老けた印象に見えることがショックで、髪を長く伸ばして薄毛を隠していました。しかし却って目立っているのではないかと思うようになり、薄毛治療を決意し仙台中央クリニックに御相談いただきました。診察したところ前頭部の生え際が後退し、前頭部に薄毛領域が認められました。ハーグ療法が効果的であると考え、治療を開始しました。回数を重ねるごとに毛髪は太くなり、生え際の後退が改善され、薄毛領域が縮小しました。
症例解説:生え際が後退してきた、生え際が薄くなり始めたという状態は、男性薄毛AGAが、既に進行していると考えた方が良いでしょう。男性型薄毛AGAは自然治癒することはなく、自己ケアだけで改善することは困難です。生え際が後退すると見た目の年齢が上昇し、年取って見えますが、きちんとした薄毛治療を行うことにより改善は期待できます。普段から、定期的に生え際や額の広さをチェックして、いち早く薄毛の進行に気づき、治療を開始することが大切です。ハーグ療法は、注射する際に痛みを伴うデメリットやリスクを認めることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。術前に十分説明を受けてください。