前髪を増やしたいと希望される方が多くいらっしゃいます。生え際が後退すると、おでこが広く見えるので、何とかしたいということだと思います。前髪の薄毛は、男性薄毛、AGAの症状で、放置すると進行します。前髪、生え際には薄毛を進行させる男性ホルモンの受容体が多数存在しているため、早めに手を打たなければ悪化の一途を辿ることになります。産毛が残っているうちは、治療することにより自己毛髪の増毛が可能で、発毛が期待できますが、産毛が完全になくなってしまった頭皮から発毛させることは困難です。
前髪の増毛で最も簡単な方法は、かつらの着用です。髪の長さや密度、ウェーブなども自分の理想に近い髪型になれるメリットがあります。しかし、かつらの着用は周りの人の目が気になるという理由から、気が引けるという方が多く、一般的ではありません。また、かつらは長く使い続けると、毛が抜けたり、色が褪せたり、縮れたりすることがあり、メンテナンスが必要で、出費がかさむデメリットがあります。かつら着用により、頭皮が蒸れて薄毛や禿げがさらに進行する可能性もあります。その上、雑菌が繁殖しやすく、かゆみや炎症などを引き起こしやすくなるために注意が必要です。
植毛は後頭部から毛髪を採取して、生え際に移植する薄毛治療法です。植毛後どれだけの髪が生着し、発毛するかにより、効果が異なります。毛根を損傷せずに採取し移植する医師の技術が重要です。植毛後、更に薄毛が進行した場合、不自然な髪形になることがありますので、注意が必要です。
自分の毛髪に人工毛を結び付けて毛髪を増やす増毛法があります。比較的簡単な治療法ですが、自分の髪の毛がない場所には結び付けることはできません。また結びつけた元の髪の毛が伸びてくれば、結び目が上がってくるため調整する必要があります。毎月のメンテナンスが必要であることや、残存している自己毛髪に負担がかかり抜け毛を助長するデメリットもあります。
育毛サロンでは、頭皮マッサージや毛髪ケアが行われています。しかし、これらの行為には、増毛を示す医学的な根拠はありません。育毛サロンは、手軽さや安さが売りですが、効果にばらつきがあり、増毛や育毛が難しい場合があります。
プロペシアやザガーロはAGAの原因物質であるDHTという男性ホルモンの生成を阻害し、抜け毛を抑える効果があります。半年ほど継続的に服用することで効果が期待できます。内服薬は比較的に身体的負担が少ないことから、抜け毛の予防や増毛への補助療法として用いられています。
ハーグ療法は、毛髪再生に有効な成長因子と各種ビタミンを含む薬液を頭皮に注入する治療法です。毛母細胞を刺激し細胞の分裂を活性化させて、乱れたヘアサイクルを正常な状態に戻すことができます。前頭部や生え際に投与することにより、前髪の増毛が可能です。自己毛髪の発毛が行なわれ、根元からしっかりとしたハリやコシのある太い髪が増えます。毛髪全体がボリュームアップし、長期的に健康な頭髪を保つことができます。
35歳、男性。前髪の増毛、生え際のハーグ療法
症例経過:20代から前髪の薄毛が進行した症例です。特に何も対策をせずに過ごしていましたが、30代になり、明らかに抜け毛が増えて、前髪が後退しておでこが広くなってしまいました。ヘアスタイルの工夫をしても、前髪の薄毛が目立つために、薄毛治療を決意して、仙台中央クリニックにご来院いただきしました。診察したところ、額の生え際が後退してM字に深く剃り込みが入っている男性薄毛の状態でした。前髪の増毛に有効なハーグ療法を開始しました。治療を重ねるごとに前髪の発毛が認められ薄毛領域が縮小しました。
症例解説:以前よりも前髪が少なくなり、おでこが広くなった、と感じている方は注意が必要です。前髪の薄毛や禿げは男性薄毛、AGAの症状です。おでこが広くなってきた状態をそのままにしておくと、生え際はどんどん後退していきます。前髪や生え際は男性ホルモンの感受性が高く、男性ホルモンの影響により毛母細胞の増殖が抑制され、抜け毛や薄毛が起こります。おでこの薄毛に対してハーグ療法は有効で、毛髪の成長を回復させ、発毛を促します。治療により、前髪の増毛が可能です。ハーグ療法は、注射する際に痛みを伴うデメリットやリスクを認めることがあります。効果には個人差があり、効果を保証するものではありません。術前に十分説明を受けてください。